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ランチェスター戦略・キュレーションマーケティング成果事例:水引き民芸品店
2015年12月19日| ランチェスター戦略水上 浩一です。
先日お伺いした長野県飯田市は水引きの生産量が全国の80%のシェアだそうですが、
この事例は他県のショップさんです。
余談ですが、最近紹介された方とランチを取りながら雑談していたのですが、ペット専用のサプリを
開発されているとのことでした。
そのときにドッグフードの話題になり、EC実践会の受講者様で数社ショップさんがいらっしゃるので、
その方からお聞きした情報をお伝えしたら「よく、そんなに詳しいところまでご存じですね」と感心されました。
受講者様からお聞きしただけなんですけどね。あとプロフィールとか。
水引きというのは、ご祝儀袋の真ん中で蝶結びになっている紅白の紐状の素材です。
この水引を使ったいろいろな商品を手作りで生産、販売しています。
たとえば水引を使った招き猫は32400円です。
水引を使った打ち出の小槌は86400円。
「これらはどういう方が購入されるのですか?」と聞くと
「いえ、売れていません。」とのこと。
確かにターゲットがハッキリしません。
しかも最大のボトルネックは製造における加工難度がきわめて高い、ということです。
打ち出の小槌のような大物は月に数個しか作ることができません。
携帯ストラップのような小物でも月に数百が限界。
なぜかというと水引自体がとても扱いづらいのです。
ためしに簡単な加工テクニックを教えてもらったのですが、すぐにほどけてしまったり、
形を維持できずに断念しました。
ですので長年の熟練が必要となりますので加工の人手もすぐに増やす、という訳にもいきません。
これでは仮にいくら売れたとしても上代ベースで数十万円が上限になってしまいます。
しかもターゲットが想定できません。
そこで「通常とは逆の視点で考えてみること」を行いました。
お店側で作れないのなら、お客様に作っていただく、という視点の逆転です。
「水引きを使った手作りキット」という商品を開発したのです。
それによって水引を使った商品を販売する、というビジネスモデルから
「水引を使ったいろいろなアイテムの作り方」を販売するというモデルに大きく舵を切ることにしました。
つまり「商品の販売」から「作り方」という情報を販売し、そこに材料を付け加えるという、
情報商材化の施策に近い差別化を実現することができました。
作り方という情報を販売するのですからその情報には信頼感が必要です。
そこで「作り手のアカデミックな情報」を発信しました。
するとビジネスモデルをチェンジしてすぐに100セット単位の注文が舞い込んでくるようになったのです。
あるときは海外からお客様を招いて行うイベントのおみやげとして注文がありました。
そのときは作り方のシートを英訳して対応したそうです。
あっという間に生産のボトルネックを解消、売上を上げることに成功しました。
<成果のポイントは?>
・商品を生産して販売する、というところから、生産をしない、という決断を行い、作り方を売る、
という転換によってボトルネックを解消。
・手作りキットというパッケージを販売することで、民芸品の製品販売に比べて、ターゲットが明確になりました。
ビーズやパッチワーク、刺繍等のハンドクラフトを趣味としている方々に対して興味をもってもらうことができそうです。
さらに今の事例のように大量で使用したいときも、以前でしたら納期がかかっていたところ、
キットですと材料を未加工で袋に入れ、作り方をプリントアウトして梱包してできあがり、なので対応できます。
ちなみに携帯ストラップで比較してみますと、製品単価は648円、キットは1080円です。
加工難度が低くなって、というか加工工程が一切無いにも関わらず、単価が上がっています。
これは携帯ストラップは一般的な携帯ストラップの相場がありますので、648円以上にしてしまうと
携帯ストラップジャンルとして割高になってしまうのです。
でもキットでしたら相場がありませんし、作り方という情報がプラスされていますので1080円でも
納得していただけるのです。
このように逆の視点で考えてみることで見事にビジネスとして成立することができました。
この製品を作って売る、というところから製品の作り方を材料と一緒に売る、
という考え方は他にも活用できます。
たとえばスコーンという焼き菓子を販売しているお店だったら、オリジナルのミックス粉を販売して、
そこにいろいろなスコーンの作り方を添える、という方法で製造しないでも商品を販売することが可能です。
実際に、スコーンを製造販売していた方が、現在はスコーン教室を運営したり、
スコーンで起業するお手伝いをする、というビジネスで成果を上げていらっしゃいます。