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ランチェスター戦略・キュレーションマーケティング成果事例:ミネラル塩店

2015年12月22日| ランチェスター戦略

海水で作った塩を製造・販売している会社があります。
この会社は特許を取得した特殊な製法で海水の中から水だけを蒸発させて
塩を作り出します。そのためミネラル分が豊富な塩ができあがるそうです。
塩としては高い部類に入りますが、それでも単価は低く、売れてもボリューム的に
満足できる金額にはなりません。

たとえば、直販の売上を実店舗とネットショップで2倍にしたい、と考えます。
このとき考えられる施策としては、
・新規のユーザーを増やす
・客単価を上げる
・リピート率を上げる
という3つがあります。
このうち「客単価を上げる」「リピート率を上げる」という2つについて検討したとき
次のボトルネックが発覚しました。

ボトルネックというのは文字通りボトルの首の部分を指します。
たとえばワインのタップリ入ったワインボトルを思い浮かべてください。
これを逆さまにしてワインを外に流します。
ワインボトルの底は太いのでそのままの太さのボトルだったらたくさんのワインが流れ
落ちます。
しかし実際にはボトルの一番細い、大抵は口の部分の直径の分だけが流れ落ちます。こ
れはボトルの底の太い部分が、一番細い首の部分に影響を受けて流れ落ちる量が決まっているからです。
砂時計を思い浮かべるとわかりやすいかもしれません。
砂時計は、真ん中がくびれていて、そこで砂の落ちる量を制限して時間をはかっています。
このくびれが無いと、砂はあっという間に流れ落ちてしまい時間を計測できません。

同じようにたとえば製造工程が4つある製品があるとします。
・1番目の工程では1日に100個分作れるとします。
・2番目は20個分。
・3番目は80個分。
・4番目は100個分。
この製造ラインのアウトプットは何個になるか、というと実は20個しか製造できません。
1番目の行程で100個分のアウトプットができても、3番目、4番目でそれぞれ80個、
100個の製造が可能であっても、2番目の製造工程で20個しかアウトプットできなければ、
3番目以降のラインには20個分の半製品しかアウトプットされないからです。
このときの2番目の工程を先ほどのワインボトルの首の部分、
もしくは砂時計のくびれている部分という意味でボトルネックと呼びます。
この塩の製造販売店のボトルネックは2つ。
・食べる目的の塩は単価が低く、お菓子等の加工品にしてもあまり単価を上げられない
・調味料なので使用頻度を上げにくい。したがってリピート率やリピート回数を
増やすことが製品の特性上難しいということです。
たしかに、売上10倍を目指した時に「塩を10倍摂取しましょう」とはとても言えませんし、
実際に不可能ですよね。

<成果のポイントは?>
このボトルネックを解消するために
「通常とは逆の視点で考えてみること」
ということを実践しました。
調味料として食べていただくにはリピート率とリピート回数に限界があります。
食べる=摂取する、
と考えた場合、逆の発想をすると
「摂取」の反対は、「排出」です。
極端な言葉を使わせていただけるならば「捨ててもらう」という使用方法は考えられないでしょうか?
たとえば「使い捨て」とか。食べる以外の用途を検討することにしました。
すると、塩のもつ効果・効能を活用して、
・洗顔目的の塩で「洗い流してもらう」
・梅干しを漬ける「塩」として利用してもらう
・バスソルトとして使ってもらい、使用後排水溝からお湯を流してもらう
・シャンプーやリンスで髪の毛を洗い流してもらう
という利用方法が浮かび上がってきました。
このうちのいくつかのアイディアを商品化、塩を使い流してもらうことで、
大量に消費してもらうことができ、ネット通販だけでも月商1000万円を達成したのです。

※ちなみにこの発想の原点は「砂糖」業界です。
健康志向等で砂糖の消費量が落ち込んだ時にこの業界がとった施策が
「スティックタイプのシュガー」を企画したことでした。
喫茶店等でコーヒーを飲むときに砂糖を使いますが、ほとんどが半分以下の使用だと思います。
残りは袋に入ったままで折り曲げて、とっておきます。
でも結果的にそのまま店をあとにした場合、そのとっておいた砂糖はどうなるか、
というと廃棄されます。
つまり、砂糖の消費量を増やすために摂取してもらうのではなくて、
廃棄してもらう、という考え方を採用した、という説を聞いたことがあります。
本当かどうかは定かではありませんが・・・。
でも、発想法としてはとても面白いと思います。

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