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ランチェスター戦略・キュレーションマーケティング成果事例:沖縄土産物店

2015年12月22日| ランチェスター戦略

年間700万人の観光客が訪れる一大観光地「沖縄」のお土産屋さん
がネットショップも運営していました。
そのネットショップの売上が伸び悩んでいる、ということで「商品の一点集中」を
ご提案させていただきました。
これは、店舗のリソース(経営資源:ヒト・カネ・モノ等)を一つの商品に集中して
投下することで資源を効率的に活用する経営戦略です。
簡単に言うと「たくさんある商品の中から一つに絞って広告をうったり、
ページを作りこんだりしましょう」という施策です。

するとその会社の経営者さんから、
「一点集中ということについては理解できるが、当店には当てはまらないのでは?」
という議論がありました。
私が、「どうしてですか?」と聞き返すと、
「お土産屋さんのベネフィット(価値)はたくさんの商品の中から選べる、
という楽しさだとと思うのです。
実店舗にいくとわかるとおもうのですが、お店にはたくさんの商品が陳列されています。
その中からお気に入りのお土産を見つける。
そういう楽しさがお土産屋さんのベネフィットだと思うのです。
そこに商品の一点集中をしてしまうというのは当店のベネフィットに逆行する施策だと思うのです」
こう答えました。
たしかにお土産屋さんにいくとたくさんの商品が並んでいます。
その中から楽しそうに選んでいる光景が目に浮かびます。
その経営者さんのおっしゃることも「もっとも」だと思った方も多いのではないでしょうか?
ここではターゲットについて考えてみたいと思います。
特定の観光地になんども足を運ぶ、いわゆるリピーターさんだったら、
その地域でどんな特産品があるのか?どの店舗で買えば間違いないのか?はわかります。
そういうユーザーはご自身でしっかりと商品や店舗を選択できます。
でも、観光地のユーザーのおそらく80%は「新規ユーザー」ではないでしょうか?
新規ユーザーは、どんな商品があるのか?どこで買えばいいのか?
わかりません。

私は経営者さんにこう聞きました。
「お土産屋さんにとって、新規のお客様の不安要素は何だと思いますか?」
「さあ・・・なんでしょうか?」
「たくさんある商品の中からどれを選んだらいいかわからない、ということなんです。
沖縄のお土産はたくさんありますよね? 
ちんすこう、紅いもタルト、海ぶどう、琉球ガラス、焼き物、パインアップル、
マンゴー、島ぞうり、シーサー・・・。
初めて沖縄旅行に行く方を想定するとご理解いただけると思います。
海ぶどう、ってなんだかわからないんです。
ちんすこうも、ブランドがたくさんあってどれが一番美味しいか?有名か? 
といった部分が全くわからない。そこで
『沖縄土産だったらまずはコレ!』という商品をそ
ういうお客様にご呈示して差し上げることがお客様の不安要素、を解消する
コンテンツになると思うのです。
そういう意味でまずは御社でお土産として一番売れている、対外的にも有名な商品を
イチオシにしたらいかがでしょうか?」

<成果のポイントは?>
さすがに感性の良い経営者さん。
すぐに意図を飲み込まれ、こう答えました。
「では当店では「タルト」がインターネットでも一番売れているので、
その商品を一点集中商品にします。」
と即答されました。
インターネット店はそのとき月商200万円。
そのタルトは店舗全体の売上の17%ぐらいのシェアでした。
その商品を一押しすることに決めました
すると、テレビ露出の影響もあったのですが、
1日で10000個(個包装単位)売れる状態になりました。
そのチャンスをとらえて、1日10000個(個包装単位)完売の実績!
というキャッチコピーを追加しました。
その結果、月商200万円だったネットショップは、3か月後には月商1095万円、
6か月後には月商1450万円を達成されました。
売上アップ率700%となりました。
一点集中させたタルトの店舗販売シェア率は、17%→35%と約2倍となりました。
まさに一点集中商品作戦が奏功した形となりました。

※ネットショップで商品の一点集中が奏功したのを受けて、
実店舗でも同様の施策をおこないました。
特定の商品をピラミッド状に山積みするレイアウトに変更したのです。
すると、なんとその商品がこれまでの10倍の売上となり、
もちろんそのショップの売上も劇的に向上したとのことです。
また、ネットショップではターゲットをさらに細分化。
修学旅行生に絞り込みました。
修学旅行生は、結構お土産に悩みます。
弟、妹、子供に向けたお土産、おじいちゃん、おばあちゃんに、そしてお父さんは
会社の同僚に配りたい等、様々な年代に向けて買わなければなりません。
これも大きな不安要素です。
そこで「修学旅行生のお土産はこれを買っておけば間違い無い!セット」を作り出しました。
この企画が大ヒットしたのです。
ここで特筆すべきは、このセットの商品一つ一つは、沖縄本島でしたら
どこにでも売っているありふれた商品ばかり。
それが「修学旅行生のお土産はこれを買っておけば間違い無い!セット」という
パッケージにした瞬間、一つ一つの商品が光り輝きはじめたのです。
これこそが「キュレーションマーケティング」の醍醐味だと確信しています。

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